編集編(1/3)

 「ハイ、お疲れさまでした。全部録音終了です!」。この一言と同時に、一部の人を除いて、最高潮に達していた緊張は一気に無くなっていきます。そう、一部の人を除いては・・・・。技術マンには、録音終了後の編集作業が待っているからです!演技を収録したものに効果音や音楽を加え、最終的な作品に仕上げなくてはなりません。役者の方々の演技を生かすも殺すも、すべて技術マンの腕にかかっているのです!!!

 という脅しはこの程度にしておいて、早速編集作業の解説に入りましょう。

 役者の演技と同時に効果音や音楽を重ねる「一発録音形式」の場合にはほとんど編集作業は必要ありません。しかし、台本の始めから終わりまでをぶっ通しで録音するということは滅多にないでしょう。必ずどこかのシーンで切れているはずです。このOKシーンを最終的につなぎ合わせるのが編集作業になるというわけですね。
 じゃぁ、早速OKシーンを並べて録音して・・・・。ちょおいと待ちなほ。実はこの編集にもちょっとしたノウハウがあるのです。OKシーンを単に並べて録音するとき、あなたならどうしますか?マスターとなるDAT録音機を用意し、順番に録音・・・。確かにこれでもちゃんと編集はできますが、もうちょっと凝って見ませんか?通常、シーンとシーンの間には場面展開などの「間」がありますよね。単につなぎ合わせる編集方法では、この「間」が短すぎたり長すぎたりと作品全体のバランスを壊してしまいかねません。そこで利用するのがMD!多少音質は変わってしまいますが、シーンの「間」を思った通りに編集するにはなかなかの優れものです。

 まず、MDにシーンの順番ごとに録音していきましょう。その時、「シーンの始まりと終わりは5秒ぐらい長めに録音する」ということと「各シーン間のレベルを調整して録音する」という2点は注意しておいてください。この2点を注意して編集しなかった場合、シーンのつなぎ目が切れたり、シーンごとに音が大きくなったり小さくなったりと聞き難い作品ができてしまいます。
 さて、録音は済みましたか?勿論このままでは全く作品とは言えないですよね。編集しましょう。MDの場合DATやカセットと異なり、録音されている音の途中を消去して前後をくっつけてしまうということができます。通常はお気に入りの曲の個人用MDを制作しているときに、「1曲、2曲、3曲といれたがやはり2曲目はいらないや」っといった場合などで利用します(図1)。この機能を利用すれば、余分な部分を切り取るといったことができ、思い通りのシーンの間をつくることができるわけです。

 編集の手順は図2のようになります。図にそって説明していきましょう。
まず、シーンを並べて録音したものを確認します。緑色の範囲が前後多少大目に録音したシーンになります。そして、本当に必要なシーンの部分が赤色の範囲です。
 まず、必要となるシーンに新たにIDをつけトラックを分割します(ピンク色の部分)。新たにIDを付けるときは慎重に行って下さい。また、図の様にID番号が変わりますので、どのID番号のトラックが最終的に必要なシーンのトラックなのかをメモしておいたほうがいいかもしれません。さらに新たにIDを付けるとき、シーンの頭は1秒以内で音が出るようにしておくとよいでしょう。逆にシーンの終わりはシーン展開に必要な「間」を残しておきます。こうしておくことでシーンのつなぎ目の「間」をシーンの終わりに新たなIDを付ける時に図ることができるわけです。
 あとは不必要なトラック(ID)を消去してつなげれば完成です。どうです?簡単にできるでしょ?

 この編集方法は、一発録音以外の収録方法で、シーンごとに編集をするような場合でも使えます。覚えておくとちょっち便利かもしれません。ただし、大きな欠点があります。それは、MDは最長74分なのでそれ以上の長さになる作品を編集することはできません。さらに、新たなIDの挿入や削除IDとIDとの間には限度がありますので、あまり激しい回数編集するには向いていません。それと、ポータブル型のMDには新たにIDを書き込んだりする機能がないものもあります。これだけは、覚えておいて下さいね。

 さて、録音時には役者の演技だけを収録し、編集時に効果音や音楽を挿入していく編集方法に解説を移りましょう。

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